インド映画「シークレット・スーパースター」を観てきました。
とにかくいろいろな意味で心からおススメしたい映画。
しかーし……。
上映館数が少なすぎる。
東京ですら2館だけ。
映画好きにもそうでない人にもぜったいに観て欲しいのに残念過ぎる……。
口コミが広がって上映関数が増えますようにとの祈りをこめて、レビューを書いてみました。
「シークレット・スーパースター」は笑って泣いて女性差別についても考えさせられる。
Contents
映画「シークレット・スーパースター」とは。
以下の説明文は映画の公式サイト映画の公式サイトに掲載されているものです。
インドに暮らす14歳の少女インシア(ザイラー・ワシーム)のただ1つの夢はインド最大の音楽賞のステージで歌うこと。しかし父親は、娘が学業に専念し、叶わない夢など見ないよう歌を禁じる。そこで彼女がとった策は、顔を隠した姿で歌った動画をこっそりとYOUTUBEにアップ。彼女の歌声はたちまち大人気となり、その話題はインドで最も力があるが若干落ち目の音楽プロデューサー、シャクティ・クマール(アーミル・カーン)との出会いをもたらすのだが・・・!?若き天才女優ザイラー・ワシームが、夢をあきらめない少女をみずみずしく演じ、『ダンガル』の二人が再タッグを組む本作は、『ダンガル』『バーフバリ』に続き、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を超えて、インド映画、歴代世界興収第3位を奪取(2019年4月現在)!世界中の人々を笑いと涙で包んで、夢を追う喜び、苦難を乗り越える強さを描く、サクセスストーリー!
実は私、この映画の存在をまったく知りませんでした。
殆ど話題にもなっていないのではないかと思います。
ではどうやって知ったかと言うと……。
映画好きの私は、気になる作品があればサービスデーの水曜日に観に行こうと思っているので、頻繁にYahoo!映画をチェックしています。
先日もチェックしていたところ、ふと目に留まったレビューランキングで圧倒的な高得点で1位だったのが、この「シークレット・スーパースター」だったのです。
「なにこの映画?」と思ってレビューを読んで見たところ、絶賛の嵐。
こりゃ行くしかない!と思ったわけなのです。

おススメする理由。
インド映画と言っても、突然歌い踊り出すボリウッド的演出はほとんどありません。
笑わせるための「ネタ」みたいな感じでちょろっとそんなシーンがあるだけ。
なのでインド映画が苦手な人でも大丈夫です。
気持ちのよいサクセスストーリー。
ストーリーはわかり易いサクセスもの。
感動の涙と共に拍手すらしたい気持ちになる、スカッと爽やかな物語です。
でも、インドならではの深刻な女性差別問題がベースになっているので、けっして「ありきたりの話」なんかではありません。
出演者たちが最高。
主人公インシアを演じるザイラー・ワシーム、母親役のメヘル・ヴィジュや、インシアのボーイフレンド、弟など、登場人物すべてが魅力的。
特に、変人音楽プロデューサーを演じるインドのスーパースター、アーミル・カーンが良い!!!
あまりにもクド過ぎるルックスが最初は見ていて暑苦しくて仕方がなかったのですが、とにかく良い味出しているのです。
笑わせてくれて泣かせてくれて、そしてまた笑わせてくれる。
暑苦しいキャラだからこそ成立する感動を、いっぱい味あわせてくれるのです。
音楽が最高。
本作のキーとなっているインシアの歌と歌声が素晴らしくて、最初から最後まで心に響きまくります。
特に途中のとあるシーンでの歌声には鳥肌と涙がぶわっ!
社会問題についても考えさせられる。
登場人物たちはけっして貧困な暮らしをしているわけでも、ド田舎暮らしをしているわけでもありません。
この映画では、そんな中流~上流階級の暮らしの中にも酷い女性差別がまだ残っているのだということを、深刻な問題として描いています。
さらにちょっと残念な情報も、映画を観た後に知ってしまいました。
その情報とは、主演のザイラー・ワシームが、インド国内で数々の賞を受賞しこれからの活躍も期待されている中で突然引退を表明したということ。
引退の理由は、女優活動によって宗教的信仰心が阻害されるからとのこと。
イスラム教の戒律を破ったとテロリストから脅迫をされたり、セクハラ被害を受けたりと、10代の若さで背負うにはあまりにも辛い苦難が降りかかったことも、引退を考える理由だったのかも知れません。
男性俳優だったらそんなことは無かったでしょうに……。
ザイラー・ワシーム自身が女性ならではの問題で引退の道を選んでしまったことは、とてもとても残念。
日本にも根強くあった女性差別。
私がまだ名古屋に住んでいた20代の頃、つまり今から30年ほど前の話。
大学が私立だったこともあり、周りにはいわゆる「良家の子女」がたくさんいました。
そんな女子たちの中には、親から「女は就職なんてしてはダメ」「卒業したらすぐに結婚しろ」と言われている人や、彼氏がいても無理矢理別れさせられてお見合い結婚した人も少なからずいました。
主人公のインシアが直面する問題に近い話が普通にあったのです。
もともと名古屋はすごく保守的な土地柄だし、嫁入り時に何台も車を連ねて走るとか、屋根からお菓子をばらまくとか、「結婚」を一大イベントとして考えているような風習があるので、そんな女性差別的な考えが他の土地より根強かったのかも知れません。
そんな保守的な名古屋のこと、私はいまだに嫌いなんですけどね。故郷なのに。(小声)
社会人になってからも、
「どうしてお茶くみは女性がやるものと決まっているの?」とか、
「どうしてみんな結婚したら辞めちゃうの?」とか、
当時は女性差別に関していろいろ疑問に思うことがありました。
もちろん今の日本にも女性差別の問題はありますが、こんなレベルの低い問題ではなく、
「女性の管理職はなぜ少ないの?」とか、
「子育て中の女性が働き易い環境が無い!」とか、
30年前よりはレベルの高い問題を議論できる世の中になっただけまだマシだし、ちゃんと良い世の中へと進歩しているんだと、私のような年代のおばちゃんは思ってしまうのであります。
ちなみに昨年辞めた会社とその前の会社では女性差別を感じるようなことは殆どありませんでしたが、たった30年前の日本にも不条理過ぎる女性差別があったということを、この映画を観て思い出してしまったのでした。
まとめ。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、「シークレット・スーパースター」にもっともっと話題になって欲しい!
もっとたくさんの人に観て欲しい!
……と、配給会社の人でもないのにおせっかいなことを考えてしまうくらい、最高の映画でした。
とりあえず、1館でも上映館数が増えますように。
ひとりでも、この映画を観る人が増えますように。(念)

