私がまだ中学生だった頃の話。
同じ学校の同級生に、モトちゃんという友だちがいました。
私は小学校を卒業後、私立中学に入学したので、イチから友だちづくりをしなければなりませんでした。
今よりもさらに人見知りが酷かった私は友だちづくりに苦戦。
そんな中、出席番号が私と続き番号だったこと、入部したクラブが一緒だったこと、そして何よりモトちゃんがとっつき易い雰囲気を持った穏やかな人だったので、早い段階で仲良くなることができました。
中学1年生の時は、クラスも部活も一緒。
中学2年生になってからは別々のクラスになってしまったので、付き合いは少し薄れてしまいましたが、部活ではしょっちゅう会っていました。
そしてある日のこと。
モトちゃんが亡くなったと聞きました。
先生からだったのか、親からだったのか、家で聞いたのか、学校で聞いたのか、詳しいことは記憶していません。
でも、一瞬なんのことだかわからなかったことだけは鮮明に覚えています。
え??
何かの冗談???
ついこの間会った時は元気だったよね????
暑い夏の日の朝、ご家族が異変に気づいた時には既に逝ってしまった後だったそうです。
いわゆる「突然死」。
この衝撃的な出来事は、私の人生観を大きくかえました。
モトちゃんの死が、私にたくさんのことを教えてくれたのです。
世の中に「人が死ぬ」ことよりも悲しいことなんて無い。
辛かったお葬式。
お葬式には同級生や先生たちと行きました。
その時の光景は、今でも忘れることができません。
ご両親の憔悴しきった様子。
妹さんが「私のせいだ!」「私のせいだ!」と泣き叫んでいたこと。
詳しいことはわかりませんが、冷房が原因で心臓に影響が出たのでは?という話を聞いたので、その関連で自分に落ち度があると思い込んでいたのかも知れません。
とにかく、ご家族たちが悲しむ様子は尋常ではなかったので、今思い出しても胸が締め付けられます。
モトちゃんが教えてくれたこと。
そのお葬式に出席して思ったのです。
ああ、死ぬってダメなことなんだな。
誰かが死ぬと、こんなにも悲しいものなのだな。
残された人たちの悲しさ、悔しさは、一生残るんだな。
誰かを悲しませてはいけないんだな。
……と。
それ以来、誰かのためにも「死ぬ」なんてことを考えてはいけないと思うようになりました。
57年も生きてきているので、「生きているのって辛い」と思ったことは何度もありましたが、そんな時でも「自殺だけはダメよ」と冷静に思うことができていました。
それもこれも、モトちゃんの死という経験があったから。
死んではダメなんだよね、モトちゃん。
まとめ。
まだ13歳だったか14歳だったかの多感な時期に起きたことだったこともあり、モトちゃんの死は、私の人生観をかえました。
悲しんでくれる友だちや家族や知り合いがひとりでもいるならば、自殺なんてことはぜったいに考えてはダメ。
たとえ悲しんでくれる人がひとりもいなくても、少なからず迷惑をこうむる人はいて、その人たちが悲しむので、やっぱり自殺なんてことはぜったいに考えてはダメ。
「彼の死」の報道を見る度に、そんなことをつらつら考えてしまう今日この頃なのでした。