よもやま話

校閲のプロたちが教えてくれる日本語の面白さ難しさ奥深さ。

50代、55歳で早期退職した私。

退職する前の会社で、3年間だけ書籍編集の仕事をしていました。

たった3年だけなので、「編集の仕事をしていた」というのはとてもおこがましく、足の指の先っぽだけ突っ込んで終わっちゃったという感じなのですけどね。

その3年間は、とにかくずっと原稿の校閲、つまり文字や表現や固有名詞などが正しいかどうかのチェックに追い立てられていました。

自分が担当していた書籍はもちろん、出版チームのリーダーだったので刊行する本の原稿はすべて目を通さなければいけなかったからです。

そして総務に異動してからも、年に1度、株主総会招集通知・事業報告書を作成する時期は、スタッフ総出で校閲作業をしました。

株主にお渡しする重要書類なので、間違いがあってはいけませんからね。

でも、複数人で何度チェックしても、その度に新たな間違いが見つかるし、お偉いさんたちが「こうなおせ」と指定してくる日本語が酷過ぎて(猛毒)、終わりの見えないすごく難儀する作業でした。

そんな体験を思い出しつつ、今さらながらすごくハマっているTwitterがあります。

それは、2011年から続いている毎日新聞校閲センターのオフィシャルTwitter。

@mainichi_kotoba

へーそうなんだっ!?

知らなかった!!

面白い!!

の連続なのです。

これこそプロ。

私なんてただの間違い探しをしていただけ。

「なぜこっちが正しいか」

などという理由まで考えている余裕なんか無かったもんなぁ……。

校閲のプロフェッショナルたちに学ぶ日本語の奥深さ。

校閲作業の大変さ。

書籍編集の仕事をするまで、校閲なんて誤字をチェックすればいいんでしょ、変な日本語が無いか見ればいいんでしょ、くらいに軽く考えていました。

でも実際は、

  • 固有名詞の表記が正しいかどうか。
  • 差別的な表現が無いか。
  • 記述記号の使い方が間違っていないか。
  • 矛盾する表現が無いか。
  • 呼称の表記が統一されているか。
  • 事実と違う内容はないか。
  • 重言はないか。(「馬から落馬」といった表現)

などなど、チェックポイントがあまりにも多過ぎて、本当に大変な作業でした。

もちろん校閲のプロに頼むのですが、それでも漏れが出てくるので、何度も何度も読み返してチェックをしていました。

無知、無学な私は、その作業を通じて初めて覚えたこともたくさんありました。

例えば……。

  • 「バーテン」は×(差別用語とされている)。正しくは「バーテンダー」。
  • 「爆笑する」は複数の人が笑うこと。1人の時は使わない。
  • 3点リーダー「…」はふたつ並べて「……」と使う。

ちなみに「爆笑する」が”複数の人が笑うこと”だというのはわりと知られていることですが、数年前に「広辞苑」から人数の説明は削除された模様。

つまり、現在は「ひとりで笑う時」にも使ってよいようです。

「日本語はアップデートされ続けている」という例のひとつ、ってことでしょうかね。

毎日新聞校閲センターのTwitter。

毎日新聞校閲センターのTwitterとブログには、以下のような豆知識が掲載されています。

尚、Twitterの引用画面をクリックするとブログ「毎日ことば」に飛ぶので、詳しい内容を読みたいときはクリックしてみてくださいね。

「……です」「……です。」どちらが正しいか。

ここに書かれていることは私も知っていました。

編集の仕事を始めるまでは「……です」が正しいと思っていたのですが、ある時、とある小説家さんから送られてきた原稿がすべて「……です。」になっていて、「あれれ?」と疑問に思って調べたことがあったのです。

その時に私も、「くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)」が、1946年3月時点から「案」のまま改定されずに存在しているということを知りました。

結論的には「どっちでも正しい」ということなので、そのとある小説家さんの文章だけはご本人の原稿のまま「……です。」とし、ほかのパートは「……です」としました。

でも、1冊の中で両方の表記があると統一感が無くて気持ち悪いので、最後までどうするかかなり迷ったんですけどね。

 ウィンブルドンは「全英オープン」ではない。


これって有名な話??

知らなかったのは私だけ??(大汗)

確かにテレビのスポーツニュースでも、「全英」ではなく「ウィンブルドン」って言っているから、有名な話なのね。

でも、Yahoo!のトップニュースの見出しも「全英」になっているので、知らなかったのは私だけじゃないのかしらん。

Yahoo!さーん!

間違っているそうですよー!

「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」の違い。


「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」のどちらが正しいかなんて、 なんとなく感覚で覚えて使っていたので、ブログに出てくる中学生のAくんみたいに疑問に思って調べるなんてこと、したことありませんでした。

毎日新聞のみなさんも、こうしたことを調べながら根気と集中力が必要な校閲をこなされているのですよね。

コトバへの飽くなき探求心という点では、「舟を編む」(三浦しをん著)で描かれていた国語辞書編纂に人生を捧げている人たちと共通するところがあるのでしょう。

プロってすごい。

本当にすごい。

まとめ。

プロの仕事の前では、「私も編集の仕事をしていた」とか、「校閲の仕事をしていた」なんて恥ずかしくってとてもじゃないけれど言えません。

このブログの文章も変な日本語や誤字だらけ。

これからもプロのみなさんのことを崇めながら修業していきますので、間違いを見つけても、どうか生温かい目で見守ってくださいませ。

はやし
はやし
日本語は面白いけど難しいよぉ~。
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