今回は、厚生年金基金の解散分配金の受け取り方法をどうしようか悩んでいるという話。
先日、私が一昨年まで勤めていた会社が加入していた厚生年金基金組合から、
「解散分配金概算額及び解散分担金の受け取り方法の選択肢について」
と題した書類一式が届きました。
組合が解散したことにより、○百万円ものお金が分配される(=いただける)というありがたーい話なのですが、税金がどかーんとかかるし、加えて国民健康保険料にも大きな影響が出る話なのです。
しかしコレ、かなりピンポイントな人にしか同じ状況が当てはまらないので、心当たりの無い人は読み飛ばしてください。
ただでさえややこしい話なので、読んでも「なにがなんやら」状態に陥ると思うからです。
私とまったく同じ状況の人とは以下。
- 勤めていた会社が厚生年金基金に加入していた。
- その基金が解散した。
- 解散分配金がDBやDCなど新制度の口座に移管される前に会社を辞めた。(定年退職含む)
- 会社を辞めたあと国民健康保険に加入している。
①~③に該当する人は結構いると思います。
そんな方々は、私と同じく分配金の受け取り方法をどうするか悩んだのでは。
ちょっと特殊なのは④。
ほかの会社に転職したり、バイト・パート先で社会保険に加入している人たちは④には該当しません。
④も当てはまる人は税金だけではなく、国民健康保険料にまで大きな影響があるので、すごーく悩ましい話になるのです……。
収入があるのは嬉しいけれど国民健康保険料も跳ね上がる!!
Contents
厚生年金基金とは。
会社員やパートタイマーなど、会社が社会保険に加入してくれていると、年金は「国民年金」と「厚生年金」の2段階になるという話は以前に書きました。
おさらいしたい場合はこちらを読んでね↓

ここ↑では、わかり易いように2段階しか説明していませんが、会社によっては3段階目の「厚生年金基金」に加入しています。
「厚生年金」は義務ですが、「厚生年金基金」は任意なので、加入してくれている会社とそうでない会社があるというわけ。
この「厚生年金基金」の掛金は会社が負担してくれるので、本人は1銭も負担せずにいつのまにか年金がたくさん積みあがっているという、ありがたーい制度なのです。
なぜ厚生年金基金組合が軒並み解散となったのか。
2012年、とある基金組合が掛金の運用に失敗して、加入者たちが将来受け取るはずの年金が消失するという事件が勃発。
その後、運用ルールに関して非常に厳しい内容に法律が改正され、殆どの基金組合が解散を選択することになってしまいました。
解散までに会社が積み上げてくれていたお金は、組合または会社が設立した制度にそのまま移行されるか、一括または組合が決定した方針に沿って分配されるか、そのいずれかになったのです。
私が勤めていた会社が加入していた年金基金組合も解散を選択。
会社は新制度を設立したので、分配金はその制度に移管されることになりました。
しかーし!
私は既に会社を退職。
だから分配金は、私にそのまま支払われることになっているのです。
分配金の受け取り方法は2通りから選択。
私の会社が加入していた組合の場合は、分配金の受け取り方法は以下2通りから選べることになっています。
- 一時金で受け取る。
- 分配金を企業年金連合会に移管する。
①一時金で受け取る。
私の分配金の額は、
○百万円。
さすがに具体的な額は書けませんが、1,000万円より100万円に近い金額です。
「一時金で受け取る」とは、文字通り○百万円を一括で支払ってもらう方法。
受け取りは1回で終了。
②分配金を企業年金連合会に移管する。
企業年金連合会とは、厚生年金保険法で定められて発足した法人。
ここに分配金を移管するというのがもうひとつの方法です。
企業年金連合会に移管すると、その金額に応じた年金が終身、つまり死ぬまで払い続けられることになります。
え??
死ぬまで??
だったらその方がお得じゃない??
と思うのはちょっと間違っています。
私が分配金を企業年金連合会に預けて受け取る年金額は、
約1万円/月。
終身と言っても、平均寿命より長く生きないと損してしまう額なのです。
組合や会社によっては個人型DC(iDeCo)に移管できるなど、ほかの選択肢を設けている場合もあります。
分配金には税金がかかる。
○百万円ものお金、しかも会社が積み上げてくれていたありがたーいお金。
それが支払われるんですから、ひゃっほーーっ!と喜べばいい話ではあるのですが……。
この分配金は雑収入扱いになるので、税金がしっかりかかります。
①一時金で受け取った場合。
一時金で受け取る場合は、現在のほぼ無収入からいっきに年収○百万円にUP。
その額に応じた納税者となるわけなので、来年の確定申告の時に結構な額の税金を納めることになります。
②企業年金連合会に分配金を移管した場合。
企業年金連合会に分配金を移管した場合も、その額分の税金を毎年支払うことになります。
月1万円くらいの額なので、一時金で受け取る時の税金に比べたら少ないのですけれどね。
次年度の国民健康保険料に影響する。
税金が分配金にかかるということは事前に認識していました。
だから、○百万円がそのまま私の懐には入らないというのはわかっていたのですが……。
私が加入している国民健康保険料にも影響するということは盲点でした。
①一時金で受け取った場合。
国民健康保険料は、4月~翌3月までの保険料が、前年の1月~12月までの収入額で決まるという話は以前に書きました。
おさらいしたい場合はこちらを読んでね↓

つまり、
今年中に○百万円を一時金でもらう
⇒ 年収がぐーんとUP
⇒ 来年度の国民健康保険料もぐーんとUP
というわけ……。
試算してみたところ、今年度の保険料月額よりも3万円以上も上がるのです……。
年額にしたら約40万円。
ぴえーん。
税金だけでも結構な額なのに、さらに40万円も引かれてしまう……むむぅ。
会社員やパートタイマーなど、給与から健康保険料が天引きされている人は、分配金が健康保険料に影響することはありません。
但し税金はかかるため、分配された額によっては確定申告が必要になります。
②企業年金連合会に分配金を移管した場合。
年金で受け取る場合は、収入額は年に10数万円だけなので、国民健康保険料への影響は殆どありません。
企業年金連合会に分配金を移管した場合の懸念点。
以上で書いたように、税金と国民健康保険料のことを考えれば、企業年金連合会に移管して年金で受け取った方がお得にも見えます。
もちろん平均寿命より長く生きることが前提にはなりますが。
しかーし!
実はこんなこと↓が企業年金連合会のパンフレットやホームページに書かれているのです。
法律改正により、企業年金連合会は、確定給付企業年金法に基づく新たな連合会(新連合会)の設立時に解散することになりました。(解散時期未定)
企業年金連合会が解散した場合は、通算企業年金に代えて残余財産を分配することになりますが、その分配金の額が当初お預かりした残余財産分配金を下回ることがあります。
また、新連合会が、その分配金を原資として新たな老齢年金の給付を行なうことができますが、現在の企業年金と同じ給付設計になるとは限りません。
要約すると、
企業年金連合会はいずれ解散する、
解散すると年金額が減ってしまう可能性がある、
ということ。
な、な、な、なにーーーーー!!!
だったら一時金として受け取った方がよくない??
平均寿命まで生きられる保証だって無いんだし??
各受け取り方法のメリット・デメリットまとめ。
両者のメリット・デメリットをまとめるとこんな感じ↓
一時金で受け取る | 企業年金連合会に移管 | |
メリット | 積みあがっていた金額を確実に受け取ることができる。 | 死ぬまで受給できる。
税金負担が軽い。 国民健康保険料への影響がほぼ無い。 |
デメリット | 税金負担が重い。(翌年のみ)
国民健康保険料額への影響が大きい。(翌年度のみ。給与所得者になれば影響は無い) |
平均寿命より長生きしないと総受給額で損する。
連合会が解散したあと、年金額が減る可能性がある。 |
どちらにもメリット・デメリットがあるのでとても悩ましいですが、企業年金連合会の解散のことを考えると、一時金としてドカンともらった方がいいかな、と私は思っています。
書類も、
「解散分担金を一時金で受け取り終了」
をチェックして、振込先口座を記入して返送しようかと思っています。
あくまでも「私は」ですよ。
まとめ。
会社が加入していた厚生年金基金組合が解散するというケースはとてもたくさんあるので、同じようにどの方法を選択しようか悩んだ人も多いのではないかと思います。
ややこしくてもしっかり理解して選択しないと損することもあるので、要注意ですよ。


いつも色々勉強になります!
ハヤシさんの決断に(勝手に)賛成です。
保険料は翌年1年だけ上がってしまうのですよね?
本当に先のことはわかりません!
1回だけで済むのはいいですよ。
私も何か役所ごとが起こってくる度に悩ましくて頭がぐるぐるしますもん!病気になってしまいそう・・・あくまで私は。だからすっきりされるのに賛成です!
・・しかし、問題はあったようでしたが、いい会社だったじゃないですか~!
bluew56さま
はい、いい会社でした!感謝しています。
確かに手続き先を増やさないために1回で終わらせるというのも、選択の理由になりますね。
おかげで一時金を選択するのに迷いがなくなりました(^_^)v