私、4回の転職経験、そして人事部門の部長経験があります。
何度も就職試験を受ける側を経験し、且つ就職試験を受けてもらう側の経験も何度もしています。
中には思い出すだけで恥ずかしくなるような経験も……。

この劇団四季での面接のほかにもうひとつ、今でも忘れられない大失敗をした経験があります。
それは、誰が面接官でもぜったいに落とすであろう「典型的な大失敗」でした。
今回はその時の話を書いてみようと思います。
面接では嘘も正直過ぎる回答もダメ。
憧れの出版社から書類審査合格の通知が届いた。
地元名古屋の会社に6年間勤めた後、なんのアテもなく上京した私はしばらく派遣社員をしながら就職先を探す毎日を送っていました。
派遣社員時代の話は以下の記事で書きました。

就活雑誌や新聞で「これだ!」と思うところに書類を送りまくったのですが、なかなか書類審査には通りません。
そんなある時、某大手出版社が雑誌編集者の中途採用を募集しているという記事が目に留まりました。
当時から文章を書くことが好きだった私にとって雑誌編集は夢のような仕事。
どうせまた書類で落とされるんだろうなと思いつつも応募してみたところ、書類選考通過の知らせが届いたのです!
しばし4畳半一間の小さなワンルームで歓喜の舞。
やった!運が向いてきたぞ!
筆記試験はなんとか合格。
筆記試験はその出版社の大きな講堂で実施されました。
まずは数学や英語などの一般常識問題がやたら難しくて四苦八苦。
ぜんぜんわからん……。
こりゃ受からんぞと思ったのですが、もうひとつの筆記問題だけはがんばりました。
ちょっと記憶が薄れているのですが、確かいくつかの言葉についてそれぞれ200文字程度で文章を書けといった内容だったかと思います。
どんな言葉が出題されたか殆ど忘れてしまいましたが、当時初めて世に出て流行語にもなっていた「ヘア◯ード」があったことだけは鮮明に覚えていますし、当時その出版社といろいろもめていた「幸福の科学問題」についても書いたような記憶があります。(どの出版社かわかっちゃいますが、もう四半世紀も前の話なので時効でございますよ)
筆記問題はある程度書けた自信はあったものの、一般常識問題があまりにもできなかったので家に帰ってからもしょんぼり。
しかし数日後、筆記試験通過の知らせが届いたのです!
再び歓喜の舞。
次はいよいよ面接だ!
自分の発したアホな一言で面接に落ちたことを確信。
面接の詳細はあまり覚えていないのですが、受ける側は私1人の個人面接で、面接官は雑誌編集に携わっている社員が2名か3名だったと記憶しています。
まず、私が筆記試験で「ヘア◯ード」について書いた内容について質問されました。
その辺りまではわりと順調だったかも知れません。
そして次の質問。
「いつもどんな雑誌を読んでいますか?」
出版社を受験するのですから、雑誌編集者募集の試験なのですから、当然聞かれる質問ですよね。
最も想定し易い質問ですよね。
それなのに、それなのに……。
私が発した回答は……
「最近、雑誌は読んでいないです」
……。
バカなんでしょうか。私。
バカなんです。私。
今思い出しても、なぜそんなことを言ってしまったんだか自分でもわかりません。
この回答をした瞬間、面接官の顔色が「こいつはNOだな」という色に一気にかわったのがわかりました。
あ……。
自分でもわかりました。
面接を落ちたことを確信。
どう答えればよかったのか。
たぶんこれを読んでいる人も「ヒドイ回答だ」と呆れたと思います。
でも、逆に面接官を何度もした経験から言うと、こういったことを答えてしまう人って意外に多いんですよ。
緊張のあまり、つい本当のことを言ってしまうのです。
実際私も当時はとても貧乏暮らしをしていて雑誌を買うお金もケチっていたので、読んでいないことは事実でした。
では、どう答えるべきだったのか。
こうした質問をされた場合、ずっと雑誌は読んでいなかったのに適当な嘘回答をしたとしても見透かされます。
嘘はダメです。
まず、面接までにその出版社はもちろん他社の雑誌も複数読んでおくべきでした。
その上で、例えば以下のような答えをしていたらある程度の評価はしてもらえていたでしょう。
コレといった雑誌を決めて読んではおらず、面白そうな特集があると買って読んでいる。御社とA社のファッション誌はターゲットが同じだと思われるが、〇月号については御社の雑誌の〇〇特集が面白そうだったので読んでみた。逆にトレンド情報誌はA社の方を読んだ。
これなら嘘にもならず、質問されたことにちょっとだけ独自要素を加えた回答になっているからです。
ラジオ局の場合だと、こんな質問をすることがあります。
ラジオってよく聴いている?
残念ながら若い人のラジオ離れが進んでからもうずいぶん経つので、就職試験を受けにくる学生さんたちの中にはラジオを聴いていない人も多いのです。
この質問に対して具体的な番組名を挙げる人も多いのですが、付け焼刃だとちょっと突っ込んだ質問をした瞬間「あわあわあわ」と答えられなくなるんですよね。
だとしたら、正直に聴いていなかったことを認めて以下のような回答をしてくれた方が点数は高くなります。
正直言えば御社を受けようと決める前はあまり聴いていなかったが、試しに「〇〇」や「〇〇」を聴いてみたら〇〇なところや〇〇なところが自分にとってはとても新鮮で面白かった。自分のように聴いていなかった人をラジオファンにする可能性がまだまだあると実感した。
もちろんこの通り回答したからと言って面接官全員が良しとするかどうかはわかりませんよ。
以前、「なぜ若者がラジオを聴かないのか自分でも知っておきたかったので友人たちにアンケートをとってみた」と言ってその結果を簡単に説明してくれた学生さんもいました。
これは「なかなかやるじゃないの」って思わせる回答でしたが、ここまでやると”あざとさ”が前面に出てしまう場合もあるので、かなり上級者編だとは思います。
絶対的に言えるのは、嘘や付け焼刃的な回答はぜったいバレるからダメだということ。
もちろん私のように何の下準備もしないで正直に答えるなんてことは言語道断。
面接を受ける資格も無し。
まとめ。
当たり前のことですが、新卒にしろ中途採用にしろ受験する会社のことは綿密に調べて、その会社の商品やサービスは実際に試しておかないとダメなわけです。
これ、本当に基本中の基本なのでたいがいの人はちゃんとやっていると思うのですが、まだ20代の頃の私は超が付くくらいのアホだったので、あんなおバカな回答をしちゃったんですよね。
私が面接官だったら終わった後に「ヒドイのがいたよ~」と嘆いていたかも……。
以上、私の失敗談がこれから就職面接を受けようと思っている人のお役に立てれば幸いです。
しかし私、よくその後に受けた会社の面接は通ることができたよなぁ……。
運に恵まれていたとしか思えないでございますよ。(自己嫌悪)
私は「選考する側」になった経験もあるので、合否を決める時の心境について書いてみました。
