>>装丁マニアの部屋

ブックカバーチャレンジで選んだ7冊の本。

コロナウイルス感染予防のための”Stay Home”期間中、いろいろなSNSで「ブックカバーチャレンジ」と題した投稿を目にされた方も多いのではないでしょうか。

この「ブックカバーチャレンジ」の主旨は、「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジ」とのこと。

どこのどなた様が始めたのかは知りませんが、私にもFacebook上でこのバトンが回ってきました。

いつもはバトン的なものは受け取らないことが多いのですが、

好きな本を1日1冊、7日間投稿。

本についての説明は必要なく、表紙画像のみを投稿。

というルールがちょっと面白いと思いチャレンジしてみたので、その内容をココでもご紹介!

かなり偏った選択になっちゃいましたけれどね。

ブックカバーチャレンジで自分の読書歴を振り返ることができた。

紹介した7冊。

本は大好きなのですがすぐに人にあげてしまい手元にはあまり残っていないため、日頃読んでいるものというよりは、家に永久保存している大切な本の中から7冊をピックアップして紹介しました。

1冊目「神様のないた日」

大ファンの動物彫刻家・はしもとみおさんの「神様のないた日」。

ご本人の阪神淡路大震災の経験をもとに書かれたタリーズだけで販売されている絵本です。

私が持っている白黒ハチワレ猫の彫刻は、みおさんが子どもの頃に飼っていた猫のトムさんなのですが、この絵本の主人公もトムさんがモデルになっています。

かけがえのない存在である命について、優しい言葉で書かれた泣ける絵本です。

 

2冊目「旅猫リポート」

有川浩「旅猫リポート」。

私の読書史上一番泣いた本。

ペットが死んでしまう本では何度も泣きましたが、このパターン(ネタバレになるので内容はナイショ)にすっかり打ちのめされて、本を閉じた後も泣き過ぎてしばし放心状態になってしまいました。

自分も主人公と同じくひとり暮らしで猫を飼っているから余計にやられちゃったのかと。

もともとラノベがちょっと苦手なせいか、有川浩さんの小説は大好きな作品と苦手な作品真っ二つに分かれます。

「植物図鑑」「阪急電車」などは大好き。

図書館戦争シリーズ、自衛隊シリーズはちょっと苦手。

3冊目「猫の建築家」

森博嗣・佐久間真人共著「猫の建築家」。

敬愛する森博嗣さんの哲学的で静かな文章と佐久間真人さんの絵で構成されたおとなの絵本。

佐久間真人さんの画に一目惚れして続編の「失われた猫」と併せて購入。

以前ブログでもこの本のことを紹介しました。

文×画の∞な美に酔う「猫の建築家」と「失われた猫」。書店でみつけて迷わずレジに持っていく。 そんな本と出会えるということは、とても幸せなこと。 内容はもちろんのこと、美しい「装...

4冊目「Life in the Desert砂漠に棲む」

美奈子アルケトビ「Life in the Desert砂漠に棲む」。

アラブ首長国連邦のドバイから車で1時間半ほどの街・アルアインで暮らす日本人・美奈子アルケトビさん。

その美奈子さんが美しい砂漠の中で、数十匹の猫、犬、鳩、ウサギ、ガゼル、ラクダ、ヤギ、ハリネズミ、フンコロガシ、トカゲ等々の多くの動物たちと暮らす様子を撮影した写真集。

同じ日本人、同じ地球で暮らしているのに、こうも知らない世界、日常、景色があるのかと驚かされて感動してクスッと笑わせられて幸せな気持ちになる。

そんな写真がたくさん掲載されています。

ほぼ毎日UPされている美奈子さん(はなももさん)のTwitterの写真や動画を見るのも楽しみとなっています。(@hanamomoact)

この本についてもブログでも紹介したことがありました。

砂漠に住むはなももさんと動物たち。憧れと尊敬と。私、動物が大好きです。 現在、猫1匹と暮らしています。 12年前に保護猫を迎えて人生で初めての猫との暮らしを始めてから、それ...

5冊目「バイバイ、ブラックバード」

伊坂幸太郎「バイバイ、ブラックバード」。

ちょっとだけ現実離れしていて細かな伏線が最後にふわぁーっと回収される伊坂ワールドにハマってしまい、2000年〜2014年までの作品は全て読破。

あまりに続けて読んだせいでちょっとお腹いっぱいになってしまったため、その後の作品はたまにしか読んでいないけれどWikiで数えたら少なくとも30冊は読んだ模様。

この「バイバイ、ブラックバード」のほか、「ゴールデンスランバー」「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」など音楽がモチーフになった作品は、ページをめくる度にメロディーが浮かんでくるのも楽しいですよね。

伊坂作品は装丁も凝っているものが多いですが、この本は特に素敵。

章の合間に小さなイラストアイコンが入っているのも伊坂作品の特徴。

6冊目「チョコレート工場の秘密」

ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」。

写真のものとはもちろん違いますが、子どもの頃にクリスマスだったか誕生日だったかに親からプレゼントされ、チョコレート工場に自分も行ってみたいとワクワクしながら夢中になって何度も読み返しました。

それは私の読書の原点となった体験でした。

大学生の時に家庭教師をしていた小学生の姉弟にも本屋さんで探しまくってプレゼント。(当時Amazonなんてなかった)

もちろんティム・バートンの映画も真っ先に鑑賞し、英語版を改めて読み返しました。

今回、その英語版の本を紹介しようと思ったのですが見当たらず。

当時のSNSでウンパルンパというHNを使っていたので、私がこの物語が大好きだということを知っている友人も多く、コレはそのひとりがイタリアに新婚旅行に行った際にお土産で買ってきてくれたイタリア語版です。

イタリア語の勉強はしていましたが、途中で挫折して読破はできておりませんが…。

人様のブックカバーチャレンジを見ているととても高尚な本ばかりで、私のチョイスはちょっとお恥ずかしい。

でも、私にとって読書とは、この「チョコレート工場の秘密」のように現実とは違う世界に連れて行ってもらえるエンタテインメント体験なので、小難しい本は仕事の時など必要に迫られない限り読まないのです。(頭が悪いので読めないとも言う)

7冊目「JET STREAM 旅への誘い詩集〜遠い地平線が消えて〜」

堀内茂雄「JET STREAM 旅への誘い詩集〜遠い地平線が消えて〜」。

ラストはちょっと手前味噌な本を紹介。

38歳の時に某ラジオ局(バレバレ)に入社して3年後に広報を担当することとなったのですが、「JET STREAM」の取材を受けることがとても多くありました。

城達也さんのファンで学生時代によく聴いていたので、それは本当に不思議な感覚でした。

残念ながら入社時には既に城さんは故人だったのでお会いすることは叶いませんでしたが、取材を受ける度にオープニングの有名過ぎるフレーズや、番組中の美しい叙情詩の作家、堀内茂雄さんに興味を持つようになりました。

だから出版担当を拝命した時、

いつか「JET STREAM」の本をつくりたい。

堀内さんの文章を形に残したい。

と思うようになったのです。

そしてそれを実現したのがこの本。

堀内さんから快諾をいただき、何度もご自宅に通って打ち合わせを重ねました。

特にあの「遠い地平線が消えて…」の生原稿を見せていただいた際には、手が震えました。

何度も何度も推敲した後が、堀内さんがいかに苦悩しながら完成させたものかを物語っていたように思います。

残念ながら堀内さんも故人となってしまいましたが、奥様が出してくださった美味しいケーキを食べながら、いろいろなお話を聞けたのは本当に貴重な体験でした。

装丁もかなり凝りました。

欧州編と米国・他編の2冊セットにしたい。

叙情詩を美しく見せるために横型の本にしたい。

でも書店に並び易いようにサイズは通常の単行本サイズにしたい。

そんなワガママな要望をアートディレクターのシラスノリユキさんが完璧に仕上げてくださいました。

出版は3年しか担当しなかったため、企画から編集までをひとりで担当したのはこの本1冊だけでした。

その意味でも、とてもとても思い出深い本です。

まとめ。

めちゃくちゃ迷いながら7冊の本を選んでいく作業はなかなか楽しかったですし、自分の読書歴を振り返る機会にもなりました。

「チョコレート工場の秘密」のところでも書いているように、ほかのみなさんはビジネス書とか真面目な小説とかすごく高尚な本を選んでいるので、嘘でももっと難しそうな本を選ぼうかということがちらっと頭によぎったのですが……

……結局、カッコつけてもなんの意味もないので、正直に本当に好きな本だけを選びました。

今読んでいるのは、アニメを観てハマった漫画「鬼滅の刃」だし。

「鬼滅の刃」は漫画史上に残る名作だから、恥ずかしく思う必要なんてこれっぽっちもないですしね。

今後も、その時に「読みたい!」と思う本を直感的に選ぶ方式で、読書生活を続ける所存なのであります。

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