>>装丁マニアの部屋

個人的には「本屋大賞」に加えて「装丁大賞」も!「そして、バトンは渡された」。

祝・「そして、バトンは渡された」の「本屋大賞」受賞!

もともとこの本、ほかにも数々の賞を受賞している名著。

でも実は私、そんな評判などまったく知らず、「本屋大賞」発表前にジャケ買いしていたのです。

私の中では「装丁大賞なんてものがあるならば是非この本に!」と思うくらい、抜群に個性的で可愛らしいデザインに心を撃ち抜かれているのであります。

今回この記事を書くにあたっては、宣伝会議「ブレーン」2018年5月号に掲載された記事”編集部が街で気になった様々なデザイン”を参考にさせていただいています。

ありそうで意外に少ないシンプル、且つ目を引く装丁。

本の概要。

今回紹介するのは以下の本。

文芸春秋社の大久保明子さんが装丁を担当されています。

基本データ
  • タイトル:そして、バトンは渡された
  • 装丁:大久保明子
  • 装画:大久保明子
  • ジャンル:小説(血の繋がらない親の間をリレーされ、4回も名字が変わりながらも愛に包まれて成長していく女性とその家族の物語。)
  • 出版社:文芸春秋
  • 著者:瀬尾まいこ

前回紹介した「愛なき世界」も本屋大賞候補作でしたが、それはたまたま。

装丁マニアの部屋。美し過ぎる「愛なき世界」。書店で美し過ぎる本を見つけ、思わずジャケ買いしてしまいました。 私、早期退職する前の会社で3年間だけ書籍編集の仕事を担当していたの...

候補になると本屋さんにずらりと並ぶので、目に入りやすかったという要因はあるとは思いますが。

仕様。

この本はハードカバーではなくソフトカバー仕様。

手になじみやすくてページも括りやすいし、読んでいる時の手の感触が優しいのがソフトカバーのメリット。

本の内容やデザインの雰囲気的にも、ソフトカバーの方がしっくりくる感じがします。

ソフトカバーや文庫本はスピン(しおり)が付けられない製本方法をとっている場合が多いですが、この本は「雁垂れ加工」というスピンを付けられる製本方法をとっているそうです。(「ブレーン」掲載情報を参照)

カバー。

帯付きの写真↓

帯を取ってみると……。

主人公の新しい家族に次々と「バトン」が渡されていくというのがこの物語のキー。

その「バトン」をすごくシンプル、且つ可愛らしくデザインしているのがこの装丁の特徴。(”バトンちゃん”と呼ばれているとのこと)

写真ではわかりませんが、紙はマット系(ちょっとザラっとしている)でイラスト部分だけツルツルしています。

これはバトンちゃんの上に「透明箔」を押しているから。(「ブレイン」掲載情報を参照)

キレイなオレンジ色と相まって、パッと目に入る仕掛けになっています。

裏と背表紙はこんな感じ↓

背表紙のリボンも可愛い♪

小説の本って、イラストや写真がドカーンと使われていたり、タイトルが大きく書かれていたり、わりと情報が詰め込まれているデザインが多いので、逆にこれだけシンプルだと書店に並んでいてもすごく目立ちます。

本を売るための仕掛けとしても、よくできたデザインかと。(上から目線でごめんなさい)

また、カバーイラストは装丁家さんとは別の方が描いている方が圧倒的に多いと思いますが、このイラストは大久保明子さん自身が担当されているそうです。(「ブレイン」掲載情報を参照)

さらにちょっと驚いたのは、大久保さんが文芸春秋の社員だということ。

新潮社の本は殆ど自社の「装丁室」という部署がデザインを担当していることは知っていましたが、文芸春秋にも自社デザイナーさんがいらっしゃるということ、勉強不足で知りませんでした。

表紙。

カバーを取るとこんな感じ↓

このデザインも可愛いですね。

とびらとスピン(しおり)。

とびら(中表紙)にもイラストが。

スピンがバトンちゃんと同じオレンジ色で、これまたとっても可愛らしい。

余談・本屋大賞について。

本屋大賞については、エントリー作品が当たり前過ぎる作品ばかりだとか、代理店など大人の事情が絡み過ぎているとか、いろいろな批判があります。

確かにそれもうなづけることばかり。

でも、これだけ出版不況が深刻になり、街から本屋さんがどんどんなくなっている中で、こうして出版業界や本屋さんや書店員さんたちにスポットライトが当たり、受賞作品や候補作品が確実にたくさん売れるイベントというのは続けていくべきだと私は思っています。

なりふり構ったり、キレイごとばかり言っていては本は売れませんから。

こうしたイベントや、写真集でもハウトゥー本でもタレント本でもなんでもいいから、とにかく話題をたくさん作って、本が売れて、書店や書店員さんが元気になることを、陰ながら祈っているのであります。

しかし今回初めてYouTubeで授賞式をライブで見ていましたが、2019発掘部門「超発掘!」に選ばれた「サスツルギの亡霊」についてプレゼンした書店員さんの熱意はすごかった。(蔦屋書店諏訪中洲店の立木恵里奈さん)

こういうマニアックな書店員さんの存在にスポットが当たるのも、「本屋大賞」の良いところではないかと思うわけです。

まとめ。

「そして、バトンは渡された」装丁のココがすごい!
  1. 小説では珍しいシンプル且つ個性的なデザイン。
  2. 美しい緑とオレンジのコントラスト。
  3. ソフトカバーならではの優しい感触。

本屋大賞の授賞式でも、バトンちゃんのキャラクターが使われたPOPがたくさん紹介されていたり、文芸春秋の人たちがお揃いのオレンジのネクタイをしていたりしたので、この装丁にもずいぶん注目が集まっていました。

だからあまのじゃくの私としては、ブログで紹介するのはやめようかとも思ったのですが、やっぱりステキ過ぎるし好き過ぎるので、こうして紹介させていただきました。

内容も心がほっこりできる温かいお話なので、是非手にとって読んで欲しいと思う一冊なのであります。

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